「こんなの冬になればいつでもなるだろ」


…なんて、呑気に言う純に溜め息を吐く。


『ならないよっ。…ほら、手出して』


少し微笑んで言えば、きょとんとした顔の純が首を傾げながら、言う通りにあたしの前に冷たくなった手を出してきた。


「なにすんの?」

『えへへー、これで暖かいでしょ?』


あたしは手袋をしたまま純の手をぎゅっと握って、自慢げに純を見上げた。


一瞬、目を見開き驚いた顔をした純だけど、その顔もしだいに笑顔になっていく。


「さんきゅ、莉愛」

『どーいたしましてっ♪』


ふんふん、と機嫌良く鼻歌を歌いながら歩いていると。


…あれ?

















ドキドキしない…。


確か…、叶と手を繋いだときはドキドキしたのに。


今はなんとも思わない。


…純が幼なじみだから?


…純だけにドキドキしないとか?




……違う。


他の男の子にだって手を繋いだりしてもドキドキしないもん。




………叶だけ、特別なのかもしれない。


でも…なんで?