「あ。僕と莉愛ちゃんの席、前と後ろだよ!!」
『教えて』
「真ん中の列の1番前って…、僕ついてなぁい!!」
『教えてってばー!!』
空はあたしを無視して席に座り、キョロキョロしはじめた。
『はぁ…』
本当に教えてくれないつもり?
あたしも自分の席に座り、目の前にいる空を恨むように睨んだ。
「あ。叶発見!!おーい」
突然。横を向き、ヒラヒラと手を振った空は笑顔であたしを見てくる。
「叶いるよー?手振らないの?」
『…!?ばかっ、恥ずかしくて手振れるわけないでしょ!?それに声大きいから!!』
「えぇー?変なこと言ってないじゃん?それに莉愛ちゃんのが声大きいよ」
それに…、と付け足すように口を開いた空は
「なんで恥ずかしいのー?」
と、極上の笑顔で首を傾げて聞いてきた。
…しまった。

