「…おーい。聞いてんのかよ?」

『ななななっ、何よ!!』


噛んだ。思いっきり噛んでしまった…。



「お前変じゃね?つーか顔上げろよ」

『や、やだ!!』

「はぁ?なんで…」

『嫌なのー!!』


ぐいっと手首を掴まれて、反射的に振り払ってしまった。


掴まれた手首が熱い…、


「お前なん『か、帰るっ…!!』

「「……はぁー?」」


突然のあたしの一言に叶と希美が声を揃えて言った。


……もう駄目、堪えられない。


「ちょっ、莉愛、どうしたの!?まだお昼だよ?まだ授業あるんだよっ」


ガタッと勢い良く立ち上がったあたしは、


希美の言葉を無視して、赤くなった顔がバレないように俯きながら、この場から逃げたくて走った。





『はあっ……はぁ、…はぁっ…!!』


あたしは学校の校門を出たところで立ち止まった。息がうまく出来なくて辛い。


やっぱり冬だから頬にあたる風は冷たいし、痛い。


…だけど、頬の熱は冷めない、まだ顔が熱い…。




『……もうっ、』


あたし、


気づいてしまった。




『…はあっ、……叶の、ばかぁっ』


気づいちゃったの。








『…好き、……っ』






―――好きなの。叶が。