「ん…、」
ちょっと待て、と言いたげに口をもぐもぐ動かしながら、手をあたしの目の前に上げた。
「あっれー?莉愛さん、緊張しちゃってます?」
『…してない、してないしてないっ!!』
頬杖をつきながら、ふふっと笑ってくる希美に引き攣った笑顔を向ける。
あぁ…
…緊張する。
あたしは誰にも見られないように、小さく膝の上で自分の手をギュッと握った。
「…うまい!!超うまい、このハンバーグ!!」
『…ほ、んとっ?』
言いながらバタバタと椅子の上で足をばたつかせてる叶は、あたしのほうを振り向いて元気よく微笑んだ。
「まじまじ!!お前、意外に料理うまいんだな」
そう言って、意識をまたお弁当に戻した叶は、卵焼きを口に入れた。
「うまっ」
本当に美味しそうにお弁当を食べる姿に、あたしはパアッと顔を輝かせる。
『えっへへー、当然っ!!』
不安と緊張はすっかり忘れて。
あたしは叶の横顔を見ながら静かに微笑んだ。

