「愛美ごめんな、寝坊しちゃった〜」

と小学生の頃から
ずっと迎えに来てた事を
思い出したら、かなり
目が痛くなってきて
涙がこぼれた。

「り、り、理一くん」

「愛美?どうしたの」

「あ、の、ね」

喉がひくひくして
上手く話せない。

「愛美、ゆっくりでいいから」

「わ、たし、引っ越、し」

「愛美、引っ越しするの?」
「う、うん」

「…そっか、寂しいな」

理一君はそう言うと
私をぎゅっと抱きしめて
「とりあえず顔洗ってきな」と優しく言った。

私は顔を洗った。
目が少し赤くて
また泣いてしまいそう
と思ったからマスカラを
着けるのをやめた。