「このへんの家具は?」
私は昨日の寝る時まではあったはずのテーブルのあたりを指差した
「運んだわ、愛美のも運んどくわね」
とママは普通に言った。
ん?なんなの?
「あら?愛美に言わなかったかしら」
え?だっていつも
ママ話しかけても
聞いてないじゃん!
なんも聞いてないし…
「聞いてないよ…」
するとママが左手を
私の顔まで上げた。
ママの左手の薬指には、すっごく綺麗な指輪がはめてあった。
「ママ、再婚したのよ」
へぇ〜再婚ね…
ってええぇぇぇぇ〜ー!?
「さ、再婚!?」
「そうよ、あ!ママもう仕事に行くわね、愛美も支度しなさいよ」
ママは仕事に行ってしまった。
私は数分間ぼけーっと
何も考えないで床に
座り込んでいた。
「おはよーございます」
と玄関から理一君の声がして、玄関まで走った。