「さすがに、犬の体に入ると純化するまで、かなり時間がかかるな・・・。」
犬のため息など想像できないかもしれないが、大きなため息をつきながらメルツは言った。
かなりの長い時間を要して、やっとメルツは話せるようになった。これで言術が使える。
「lot。」
するとどうだろう、イバーエの魂が姿を現した。
「やはり、お前は呑気なやつだのう。」
見上げ、魂に語りかけた。
「じいちゃん・・・?」
魂だけになってはいるが、イバーエは驚いた表情を浮かべている。その表情に、天井が透けて見える。
「まぁ、お前が呑気なおかげで、生き返らせてやる事が出来る。いいか、誰かに呼ばれても、相手にするんじゃないぞ。」
「生き返らせてやるって・・・。僕、死んだの?」
「自分の手を見てみろ。」
手の平を見てみた。足が見える。その先には床が見えた。
「・・・。」
死んでいると言うことを、イバーエは実感した。
「そんなに驚くでない。魂がここにあれば、お前は生き返る事が出来る。いいな、さっきも言ったが呼ばれても、決して相手にするんじゃないぞ。」
「わかった・・・。」
「じゃ、そこで待ってろ。」
メルツは尻尾を振りながら、イバーエを生き返らせる準備をした。