このまち


はじめは別に何も期待していなかった。

出会い系なんかではないし、「何でも話せる女の子のリア友」を募集する訳ではない。

ただ持て余している時間の為に、要は暇潰しの為に登録をした。


SNS。本当か嘘か分からない世界の中で私は29歳のコウさんに出会った。


はじめてコウさんからメールが来た日のことは覚えている。

確か私はもう寝ようと布団の中にいた時だったのだ。

「よかったらメールしませんか?」

ありきたりなメールだった。
私の足先は冷たかった。
秋から冬に変わろうとしていた夜だった。