今日は真剣に心の中で謝って、
俺もそれ以来口を開かなかった。

永遠子の欲しい物とは何なのだろう?
気になって夜眠れないじゃないか。


「なぁ、何が欲しいんだ?」
「は?」


眉間に皺を寄せた永遠子が、
ここに来てようやく俺の方を振り向いた。
険しい表情なのに、
その顔を見て俺は絶句してしまう。


「何で……」


「泣きそうなんだよ…。」


公園の街灯に暗く照らされた永遠子は、
まるで眉間に皺を寄せて泣くのを堪えているように見えた。


「は?!泣いてないし!」
「や…だって、目、潤んでる…」
「潤んでない!!」


叫んで、再び顔を俺から逸らす。
俺はじっと彼女の顔を見つめたまま
言葉を待った。


「……本当に、もしサンタさんがいて
 何でも持ってきてくれるならさぁ…。」
「うん。」


ようやく紡いだ永遠子の言葉は、
本当に小さく消えてしまいそうで
俺の不安を余計に募らせる。

ベンチの上で小さく膝を抱えた永遠子は
その膝に顔を埋めた。


「あたし、宮塚が欲しいって願う。」


――へ?

小さな永遠子の言葉は、静かな公園には
しっかりと響いて、
聞こえないふりなんて出来そうにない。

今彼女が言った言葉の意味が
さっぱり理解できない俺は
ただ目を丸くして、顔を上げない永遠子を見るだけ。
言葉さえ、返せない。


「…な、なな何で?!」


やっと俺の口から出た声は裏返ってしまい、
動揺を隠せなかった。
自分でも情けないと思うが、今はこれしか尋ねられない。


「な、なんで……」


視線が、左右に泳いで
寒いのにも関わらず、頬が上気するのを感じる。
カチカチと音を立てて小刻みに震えている歯で
ちゃんと喋ることができないのがもどかしい。