『何で……最初からその道が
 無理だと決めつけるんですか…。
 まだまだ可能性はあるでしょ?』


苦し紛れのか細い声で、
もう泣いてしまいそうなのも堪えて
私は担任の顔を見ずに言った。

しかし、ちらりと見た担任の顔は
渋くて首を横に振るばかり。


『この学校に行ければ、確かに道は開けたかもしれん。
 でもな?この期末の様子じゃあ……
 センター試験を通るのは無理だろう。』


そんなこと、やってみないと分からないじゃない。


『夢を見ていられるのは、ここまでなんだよ。』


夢なんかじゃ、ないよ。



『ちゃんと現実を知れ。』



思いだすと、今日の出来事に耳を塞ぎたくなる。
不意に私の瞳から涙が伝った。


「やだやだやだぁ…」


たった、あれだけで。
たった一回のテストで諦められるような
夢を抱いてきたわけではない。

なのに、あんなに言われてしまっては
もう自信もなにもズタズタだった。


そのとき、背後から草を踏む音が聞こえた。