空を見上げると、
皮肉なまでの青空が広がっていた。


それをこの手で握りつぶしたくなる衝動にかられるが、
そんなことは決して不可能で。
ただそれだけのことに、
自分とういう存在があまりに無力に感じた。


「何よ……」


誰もいない、風だけがそよぐ河川敷。
私はポツンと1本だけ生えた木の下に寝転がっている。

仰向けに寝ていると、嫌でも澄んだ空が見えて
思わず腕で目元を覆った。


視界が奪われると、
他の感覚が妙に研ぎ澄まされてしまい
周囲から聞こえる鳥のさえずりや、川のせせらぎが
また私の怒りのボルテージを上げる。


「うるさいな!!」


誰もいない。
誰も聞いてはいない。
怒鳴った相手は自然で、どうしようもない世界。


人間なんかが、敵うはずのない世界。


「……。」


隣に生えていた小さな白い花を
意味もなくむしる。

根から引きちぎられた可哀想な花は
ただその首を項垂れて、私を嘲笑っていた。


”こんなことしても、何も変わらないのに”


と。


「もぉ……やだぁ…」