大嫌いでも大好きだから



え。



一瞬普通に、去っていく鳳くんの背中を見ていたけれど、
すぐにハッと我に還った。



保健室に残されたのは、わたし。


…と、
梓。


文字通り二人きりだった。




でも…。

鳳くんは何を考えているのよ!
心の中でそう叫ぶ。


チラッと梓を見ると、
彼は出ていく気配がなく、ただ無言でその場にいるだけ。


その沈黙が怖い。