ガラガラ…。 「失礼しまーす」 小さな音をたてて、 保健室の扉を開いた。 と同時に、 病院に似た独特の香りが漂ってくる。 もう慣れてしまったのだろうか。 不思議とわたしは、この香りが嫌ではなかった。 ふとベッドを見ると、 ひとつだけカーテンが閉じている。 熱だろうか。 サボりだろうか。 誰とも分からないそのカーテンの向こうの主を想像して、 小さく首を傾げた。