アムレ手作りの温かい食事を摂るとき以外は、ハルカは与えられた自室で過ごした。指輪を作る作業にも慣れていき、青、赤、紫、黄色の宝石を次々と土台に接着させた。

 圧倒的に青い宝石が多いことに気付くまでに時間はかからなかった。次いで紫、黄色のが多い。身分制のピラミッドを思い出し、ハルカは納得した。身分が低い者が多数派なのだ。

 たまに休憩を挟み眠くなるまで指輪を作る、という単調な日が三日続いた。これが事実なのだと痛感しはじめ、ハルカのため息の数が多くなっていく。

「気晴らしに散歩でもしたらどうだい」

 アムレが見兼ねて尋ねたがハルカは指輪作りに専念したいからと断った。外に出ることに恐怖心を持ったのも理由の一つだったが。

 アムレは深く追及せず、無理はしないようにと言い、ハルカの頭を撫でた。

 ずっと同じ作業を繰り返すことで肩に重みを感じ始めた四日目、昼食をアムレと一緒に摂り、自室に戻ってきたハルカは部屋に異変があることにすぐ気が付いた。

 天気が良いからと開けっ放しにしていた出窓の手前に、可愛らしい装飾が施された棒キャンディとクッキーが入った袋が置かれていた。
 不思議に思ったハルカはそのお菓子を持ってアムレのいるダイニングに戻った。