…断ろう。 頭に出てきたのはそれだけだった。 そして ずくん、という鈍い痛みが心臓に走る。 理由があって思ったわけではない。 咄嗟の反応、という表現が正しいのかな。 聞いてくれるだけでいい。 それは、返事はいらないということ? それは、あたしが断ると知っての行動? 家路についている途中、そんなことばかりを考えていた。 後から気づいた。 なぜか、翔のことは思わなかった―――。