「いいんです、先輩」
章は優しい微笑を浮かべて俺を見た。
「僕が弱かったんです。本当の自分を見つめるのが怖かった。両親に与えられた道以外、何も持っていない自分を知るのが怖かった。だから精一杯努力してる気になって……。本当はずっと逃げてたんです。先輩を逃げ場所にしてた」
優しい章。
確かにその心は弱いかもしれない。
だけど、全てを受け入れる強さ――自分の弱さを認める強さをこいつは持っている。
「ありがとう先輩――僕、先輩が見守ってくれてたから、今までどうにか自分を保ってこれた。でもこれからは――」
章はいつのまにか立ち上がっていた。
全身を覆っていた翳りは消え、瞳に意志の光が宿っていた。
「今の僕には、先輩の弟である資格はないです。先輩に頼りきって、自分の力で立ってなかった。僕――もっと一人で足掻いてみます。自分の道をみつけて、自分に恥じない自分になれるよう、頑張ってみます」
つられて立ち上がった俺に真っ直ぐ視線をぶつけてくる。今まで見たことない程の強い生命力を漂わせ、章はそこに、一人の男として立っていた。
人間はこうも突然変われるものなのかと驚きを感じずにはいられない。
一時的なものなのかもしれない。だがきっともう、章は大丈夫だと、この先幾度躓いても自分で立ち上がれるだろうと、思わせる何かを章は纏っていた。
章は優しい微笑を浮かべて俺を見た。
「僕が弱かったんです。本当の自分を見つめるのが怖かった。両親に与えられた道以外、何も持っていない自分を知るのが怖かった。だから精一杯努力してる気になって……。本当はずっと逃げてたんです。先輩を逃げ場所にしてた」
優しい章。
確かにその心は弱いかもしれない。
だけど、全てを受け入れる強さ――自分の弱さを認める強さをこいつは持っている。
「ありがとう先輩――僕、先輩が見守ってくれてたから、今までどうにか自分を保ってこれた。でもこれからは――」
章はいつのまにか立ち上がっていた。
全身を覆っていた翳りは消え、瞳に意志の光が宿っていた。
「今の僕には、先輩の弟である資格はないです。先輩に頼りきって、自分の力で立ってなかった。僕――もっと一人で足掻いてみます。自分の道をみつけて、自分に恥じない自分になれるよう、頑張ってみます」
つられて立ち上がった俺に真っ直ぐ視線をぶつけてくる。今まで見たことない程の強い生命力を漂わせ、章はそこに、一人の男として立っていた。
人間はこうも突然変われるものなのかと驚きを感じずにはいられない。
一時的なものなのかもしれない。だがきっともう、章は大丈夫だと、この先幾度躓いても自分で立ち上がれるだろうと、思わせる何かを章は纏っていた。

