「あ、うん……もう俺の名前知ってるんだね。一応自己紹介しておくけど、俺、朽木と同じ薬学部の拝島拓斗(はいじまたくと)。よろしくね」
 
 ぐらり。
 
 拓斗キタコレ。
 
 ぐっじょぶ! ぐっじょぶですよ! まだ見ぬ拝島さんのご両親!
 
 まさに生まれながらにして「受け属性」。
 「受け」の宿命を背負って生まれたような人です! 
 
 あたしは拝島さんに向かって親指を立てた拳をぐっと突き出した。もう片手は鼻血が噴き出しそうな鼻の根を押さえてる。
 
「え…………何かな?」
 
 ハテナ顔の拝島さんに、
 
「なんでもありません、さぁ行きましょう!」
 
 と答えて歩き出す。嫌そうな顔の朽木さんの背中を押しながら、これから始まる萌えイベントに胸躍らせて、ひたすら頬を緩ませるのだった。