「行くわよグリコ」
足を止め、呆れ混じりのため息をひとつ落とす祥子。高地さんの言葉も完全無視であたしを促す。
いつもの絶対零度の口調。冷たい無表情。
さっきまで確かにあった戸惑いや恥じらいの表情は、もうカケラも残ってない。
やっぱり高地さん、望みゼロなのかな。
最初こそ高地さんの軽薄さが信用ならなかったけど。
本当に、真剣に祥子を好きな様子が伝わってきて。
結構お似合いの二人なのかも……なんて、思えてこなくもなかったんだけど。
高地さんをちらっと振り返ってまた祥子を見る。
――――――ん?
あれ? もしかして。もしかするとだけど。
――高地さん、確かにまだ終わってないかもよ。
あたしはなんだかウキウキしてきて、にやつく頬を抑えながら祥子の後を追いかけた。
日没の闇がおりようとする道を、足取りも軽く駆け抜ける。背後のナンパ男にそっとエールを送りながら――
再び歩き出し、あたしの前を通り過ぎる祥子の横顔。
多分。きっと。気のせいじゃない。その横顔は――
微かに、笑っていたのだった。
足を止め、呆れ混じりのため息をひとつ落とす祥子。高地さんの言葉も完全無視であたしを促す。
いつもの絶対零度の口調。冷たい無表情。
さっきまで確かにあった戸惑いや恥じらいの表情は、もうカケラも残ってない。
やっぱり高地さん、望みゼロなのかな。
最初こそ高地さんの軽薄さが信用ならなかったけど。
本当に、真剣に祥子を好きな様子が伝わってきて。
結構お似合いの二人なのかも……なんて、思えてこなくもなかったんだけど。
高地さんをちらっと振り返ってまた祥子を見る。
――――――ん?
あれ? もしかして。もしかするとだけど。
――高地さん、確かにまだ終わってないかもよ。
あたしはなんだかウキウキしてきて、にやつく頬を抑えながら祥子の後を追いかけた。
日没の闇がおりようとする道を、足取りも軽く駆け抜ける。背後のナンパ男にそっとエールを送りながら――
再び歩き出し、あたしの前を通り過ぎる祥子の横顔。
多分。きっと。気のせいじゃない。その横顔は――
微かに、笑っていたのだった。

