とんでも腐敵☆パートナー

「もう合コンもナンパも絶対しない。誓うから」
 
「無理しなくていいわよ」
 
「無理じゃないよ! 今までは、女の子はみんな可愛くて、どの子もステキに見えたんだ。でも今は――」
 
「恋愛ごっこは他の女とやってくれる?」 
 
 突然、祥子の表情が厳しいものに変わった。
 
 空気を凝固させる絶対的な拒絶。
 
 取り合う気はないといった幕を下ろされ、高地さんは僅かに怯む。だけど高地さんも退く気はないらしく、ぐっと顔を寄せて祥子の視線を真っ向から受け止めた。
 
「これは、ごっこじゃないよ、祥子ちゃん」
 
「ちょっと! 何する気!?」
 
「大丈夫。何もしないから」
 
 祥子が身をよじっても、そこはさすが男の力。びくともしない。祥子の表情に焦りが浮かぶ。
 
 ドラマみたいな展開になってきてドキドキだ。けど、それ以上祥子に触れるのはおかーさん許しませんよ!
 
 ぎりっと奥歯を噛み締めるあたし。
 
 その時、あたしの視界の隅に、芝生の上でごろんと寝転がる猫の姿が映った。
  
「お願いだから、ちゃんと話を聞いて――」
 
「誰がその手に乗るか! 人を呼ぶわよ!」
 
「イテ! ちょっ、ちょっと祥子ちゃん、暴れないで!」
 
「顔が近いっ!」
 
「別に何もしないってば! 真面目に聞いて欲しいだけで……」
 
「聞く耳持たんわ!」
 
「なんでそんなに意固地なんだよ! あ~~もうっ!」
 
 ぐっと祥子の肩を引き寄せる高地さん。
 
 祥子の顔が、一瞬高地さんの腕の中に収まる。
 
「俺のコト信じて。俺は……俺は本気で――」
 
 抱きしめながらの真剣な告白。だが残念ながらそこまでだ。