「ツテ!? な、なんで俺が!? ツテなんて期待してないよ祥子ちゃん!」
 
 心外だとばかりに反論する高地さんに対し、
 
「それならこれで海の話は終わったことだし、もう話しかけてこないでくれる?」
 
 と厳しい言葉を返す祥子。全く取り付く島もない。さすがにちょっぴり可哀想。
 
「そんなっ! 一緒に海に行った仲じゃない!」
 
 そうだ! もっと食らいついてけ高地さん!
 
「それだけの仲で友達面は御免だわ」
 
 
「ぐはぁ――っ!」
 
 ずばしゅぅーっ!!
 
 
 
 げ、幻聴が……。
 
 今、頭からバッサリ斬り捨てられる擬音の幻聴が聞こえましたっ!
 
  
 あまりの痛み故か、胸を押さえながらよろめく高地さん。
 
「お……俺のこと嫌いですか。祥子ちゃん……」
 
 背中に木枯らしが吹き荒れ、るるる~と哀愁が漂う。
 これほど木枯らしが似合う背中もない。
 
「嫌いというより鬱陶しいだけよ」
  
 ズドド・ドドド・ドド・がはぁ――っ!
 
 機銃掃射っ!? 今度は機銃掃射の音がっ!!
 
 げふぐふんってのけ反りながら吐血する高地さんの血祭りビジョンまでもが、はっきりと見えましたよ奥さんっ!
  
 
「ぐ、ぐふぅっ……。そ、そんな……。俺はこんなに祥子ちゃんが好きなのに……」 
  
「はぁ?」
 
 思いっきり眉をしかめてそうな語尾上がりの声があがる、ってゆーか今さらりと告白がっ。そんなにさらりでいいのか高地さんっ!?
 
「却下よ却下。撃沈記録に加えといて」
 
 
 軽く流されたぁぁ――――――っ!!