「あんまりじろじろ見てるとばれるよ栗子ちゃん」
 
「だって高地さんごときに祥子があんな顔するなんて……」
 
「まぁまぁ。高地もそんなに悪い奴じゃないよ。女の子に優しいし」 
 
「でも女癖悪そうです」
 
「うーん、それは否定できないけど……。でも今度は本気だってあいつも言ってたし、もうちょっとだけ、様子を見てあげてくれるかな?」
 
 とっても拝島さんらしい友達想いな意見だ。
 
 でも残念ながら、あたしは高地さんの友達じゃない。そう簡単には信用できない。
 
「前向きに考えてはみますけど、まだ祥子に触れるのは許しません」
 
「そうだね。栗子ちゃんだって祥子ちゃんが大事だもんね」
 
 うっ。そうストレートに言われるとちょっと恥ずかしい。
 
「でも一番大事なのは祥子ちゃんの気持ちだから。もし祥子ちゃんが高地を気に入ったなら……」
 
「それはないと思いますけど」
 
 これまでの祥子の態度を見るに。
 
 あたしを見る拝島さんの目がくすっと笑った。
 
 
 むぅ~……。別に二人の仲を全否定してる訳じゃないもん。祥子はまだ高地さんに、完全に気を許してはいないと思う。
 
 だけど、拝島さんの顔越しに見える二人はなんだかそれなりに楽しそうで。
 
 ネコのヌイグルミを鞄にしまう祥子と高地さんは、結構仲の良いカップルに見えなくも……ない。