とんでも腐敵☆パートナー

 なんて奴ら。
 
 車に仕返ししようだなんて、陰湿なことしてくれるじゃない!
 
 しかも、拝島さんの車に――――
 
 
 もう、許さない。
 
 
 全身の血が、煮えたぎるようだった。
 
 肩に置かれる、朽木さんの手。
 
 朽木さんの、静かな怒りが伝わってくる。
 
「グリコ。――やれ」
 
 その感情を抑えた声音に、背中を押されるように。
 
 あたしは車の陰から飛び出し、すうっと息を吸い込んだ。
 
 腹の底に限界まで空気を溜め。
 
 そして。一気に吐き出す。
 
 
「どろぼぉぉぉ――――――――っ!!」
 
 
 あたしの出せる最大音量。
 
 全身全霊かけて、喉を振り絞る。
 空気がビリビリと震え、鳥が一斉に羽ばたいた。
 
 
 今まさにハンマーを振り下ろすところだった男達は、驚きのあまり硬直し、
 
「ひっ!」
 
 なんて声をあげた。
 
 へへーんだ。ばーかばーか。
 
 振り返る男達にアッカンベーをくれてやる。
 
 そしてくるりと背を向け、駐車場の外に向かって走り出す。