急行電車は待ち合わせの駅に着いた。

電車を降りた桃子は改札に向かった。


改札につながる階段で上を見た。

階段の最上段に、あの男性を見付けた。


桃子は階段を駆け上がり彼を追った。

しかし彼の姿は無かった。

通路を小走りに、そして
階段を下り改札へ


やはり彼の姿は無かった。

改札の前では見覚えのある背中が

誰かに手を振る見覚えのある背中。

桃子と変わらない身長。

佐紀だった。



桃子は改札を出た。

佐紀はまだ背を向け手を降っている。

桃子は佐紀の肩を叩いた。


『ごめん、ごめん 待った?』


《ううん 今さっき》
佐紀の家は駅前のマンション
2分とかからない。


『誰か知り合いでも居た?』

佐紀はびっくりした様に
《うっ、うん ちょっと》

『ふ〜ん』桃子は、
それ以上聞かなかった。


二人は手を繋ぎ遊園地へ。


駅から歩いて7,8分。


二人はいつもこの遊園地へ、
そして必ずメリーゴーランドへ。


ジェットコースターや
絶叫マシーンじゃなく、
メリーゴーランド。