どうしようかと悩む桃子。

“見たいっ ダメッ!でも見たい!“


誘惑に負け立ち上がろうとした時ドアが開いた。


『佐紀ちゃん〜 タオル貸してよっ』


《あっ、ごめんごめん
今持ってくるねっ》


佐紀は紅茶と苺のショートケーキが
二つずつのったトレイを
テーブルに置いた。


桃子の視線と心は写真から
ケーキに移っていた。


桃子が気づかぬうちに部屋を出ていた佐紀。

佐紀はタオルを持って来たが

桃子の視線はケーキ!

お預けを喰らった犬の様だった。


その姿に佐紀は

《待てっ ハウス!》


期待した リアクションが返って来ない。

ふた呼吸空いて

『ハウスッて なによっ ワン!』



《よしっ!》


『ワン!』


タオルを頼んでおきながら

タオルよりケーキ!


佐紀は桃子の頭にタオルを落とした。


それでもケーキにむしゃぶりつく桃子。



《もー 頭拭きなよー》


そう言いながら桃子の頭を拭く

妹の世話をやく
“お姉ちゃん“の様な佐紀。



それでもケーキを堪能する桃子。

桃子の目は、
もう一つのケーキを狙っていた。