「ユリちゃん、グラス空じゃん!!何飲む〜?」





「えッ!い、いや…あの……」




井田ユリは強張っていたものの、大地に返事をしていた。







グズグズしてたコトが悔やまれた。時間は無限じゃなかったのに……




楽しい話の一つでもしていたら、少しは彼女の中の僕は変わったかもしれない。



僕は…井田ユリの中に、『僕』を残せなかった。










「えぇ〜?雄一郎くん、どこ行くの?」




「ちょっと空気吸いに」





新しく隣に座った栗岡奈美子を置いて、僕は部屋を出た。