雨脚は強く

儚げなあなたは

まるで雨など降ってないかのように

そこにいた


あまりにも儚げで

「泣いてるの?」

声をかけた


「大丈夫?」

多分泣いてたから

大丈夫じゃないと思うけど

それしか聞けなかった

言えなかった


でもそんなあなたを見て

良かった

って不謹慎にも思った


ヒトメボレなんて

初めてだ


悲しんでいるあなたが好きだ

だってあなたは今

悲しいから僕のそばにいる


愛されたいんですよね

癒されたいんですよね


…それならお望み通り

悲しんでるあなたを愛してあげます


卑怯?

そんなの知りませんよ

僕はただ

純粋にあなたが好きなだけなんです


僕に「癒して」と言ったあなた


癒されるほどに

傷付いて

僕を利用するほどに

傷付いて


僕はそれを知りながら

あなたを傷付けて

僕を刻み付ける


僕らは傷付けながら

愛し合う


僕はそんなあなたが好きです