ただ、負けたくない。 それだけだ。 もし、まかり間違って松井が勝つようなことがあれば、ヤツは俺を嘲笑い、ますますデカイ顔をするに違いない。 …黙っててくれよ、頼むから。 ムカつく女だ、つくづく。 黙ってれば、それなりに美人に属すのに。 あくまでそれなりだが。 そんなことを考えながら、俺はまた参考書に意識を集中させる。 松井も、今頃勉強しているだろう…。 ふと頭をよぎったそんな考えを、抹消。 …どうでもいい。