「………俺の勝ちだね」
放心する私の横にはいつの間にか菅原くんが立っていて、耳元で囁かれた。
それだけでドキッと少し跳ねる、アホな心臓。
「覚えてるよね、条件」
……何も言えません。
「あとで部屋行くから」
最後にそう言って、菅原くんは去っていく。
言いたいことだけ言いやがって。
まあ、私から言えることは何もないけれども。
どうなっちゃうんだ、私。
そういうことに興味があるわけではないし、漫画や恋愛小説を読んだりもしないとはいえ、知識は嫌でも耳に入ってくる。
…男子と女子が、夕方の密室でふたりきり。
…やばいぞ。

