だから、ありえないと思ってた。

そんな女がこの世にいるなんて。

まさか、あいつがそんな女なんて。

俺が、あいつを好きになるだなんて。


「松井、胡々……」

その名前をつぶやいて、俺は特待生をお迎えするために玄関に向かった。

顔にはお決まりの作り笑顔を貼り付けて。

冷え切った心を隠して。