矛盾してるのはわかってる。

こんな俺は、友達にも彼女にも見せられない。

大切にしたいと、思えば思うほどに、本当の俺は隠れていく。

暴れることでそのストレスを発散する。


そうして出来た、いい子ちゃんの俺は、

誰にでも好かれる。

男も女も、黙ってても寄ってくる。

今の彼女だって、その中から適当に選んだ。


「夏。理事長、帰ってきたぞ」

そんな声に、俺は窓から離れた。

物好きの女子とやらを迎えに行く時間だ。


きっとその女子も、俺を知ったような顔をして寄ってくるだろう。

特待生だから大切にしろと母親に言われてるから、大切にしなきゃいけないが。

ちょっと物好きでも、結局一緒。


俺にも女を好きになれる時が来るのだろうか。

女なんか群れてて、ちょっと外面のいい男に群がって。

そんな女には、嫌悪感すら抱く。

どんなに顔がよかろうが料理が出来ようが、まったく対象にならない。


俺の好きなタイプは、俺を嫌いな女だ。

そんな女がいればだが。