母親といえば、拓麻を生む前に私は事の真相をすべて両親に話した。両親は事件のことは知っていたが、ここまで実の娘が絡んでいることを知らずにいた。“産みなさい”とは言ってもらえなかったが“おろせ”とも言わなかった。父親は終始無言だったが、もう大人なのだから自分で決めなさい、そう言われた気がした。
拓麻を愛している。本当に産んでよかったと、生まれてきてありがとうと心から言いたい。この子のためなら死んだっていい。こんなこと、彼の時には思わなかったのに母性本能というのは本当にすごいと自分で感心してしまう。
「拓麻。早く寝なさい。明日幼稚園遅れるよ。」
それは家に帰ってきて夕食を食べ終わった後のことだった。拓麻が一生懸命テレビに熱中していたのだった。珍しく熱中しているので私も何気なくその方に目を向けた。私は一瞬、自分の目を疑った。その目に映っていたのは何と、彼、兼山東本人だった。私は無我夢中でテレビに釘付けになった。
「ではボーカルのHIGASHIさんは高校を中退して音楽活動をなさっていたという訳ですね。」
マイクを持ったアナウンサーが彼に向かってそう訪ねていた。そして画面がアナウンサーから彼に切り替わる。私は胸が高鳴った。何年ぶりに彼を見ただろう。前髪が伸びて少し大人っぽくなっていた。
「はい、そうです。ある人に夢を叶えろって言われてそれで今日まで頑張ってきました。」
「ほお。そのある人とはもしかして恋人ですか?」
アナウンサーが冗談交じりで言う。
「ええ、そうです。恋人というより妻です。」
拓麻を愛している。本当に産んでよかったと、生まれてきてありがとうと心から言いたい。この子のためなら死んだっていい。こんなこと、彼の時には思わなかったのに母性本能というのは本当にすごいと自分で感心してしまう。
「拓麻。早く寝なさい。明日幼稚園遅れるよ。」
それは家に帰ってきて夕食を食べ終わった後のことだった。拓麻が一生懸命テレビに熱中していたのだった。珍しく熱中しているので私も何気なくその方に目を向けた。私は一瞬、自分の目を疑った。その目に映っていたのは何と、彼、兼山東本人だった。私は無我夢中でテレビに釘付けになった。
「ではボーカルのHIGASHIさんは高校を中退して音楽活動をなさっていたという訳ですね。」
マイクを持ったアナウンサーが彼に向かってそう訪ねていた。そして画面がアナウンサーから彼に切り替わる。私は胸が高鳴った。何年ぶりに彼を見ただろう。前髪が伸びて少し大人っぽくなっていた。
「はい、そうです。ある人に夢を叶えろって言われてそれで今日まで頑張ってきました。」
「ほお。そのある人とはもしかして恋人ですか?」
アナウンサーが冗談交じりで言う。
「ええ、そうです。恋人というより妻です。」

