女教師

初めて彼女の口からこぼれた“先生”という言葉。私は初めて彼女の心に触れたような気がした。ああ、この子もまた東を深く愛しているんだなという実感がこみ上げてきた。

「根岸!!あんたはその傷に相当する、いやそれ以上の傷を両親にそして先生に与えたんだ!自首しろよ。罪を償え!!
すっかり暗くなった病室で二人の熱い沈黙が続く。
「自首?なぜ私が自首などしないとならないのかわからないね。」
彼のまゆがピクッと動いた。その細かな動きに憎しみが感じられた。
「どうしてもというなら俺の手で罪を償わせる!!」
「ふん。ガキが偉そうに。お前の頭脳と私の頭脳じゃ格が違うんだよ。ここがな…。」
根岸は自信満々の表情で、自分のこめかみを指差した。
その時だった。一面にライトが照らされ二人の顔が鮮明になった。そしてふと、周りを見ると彼らの周りには5、60人の警官たちが周りを取り囲んでいた。
「警察だ、動くな!」
「刑事さん、この男が私を刺した犯人ですよ!!」
彼を指さしながら根岸先生の口元が上に上がった。
「根岸千尋!兼山夫婦殺害容疑及び笹倉舞の監禁容疑で逮捕する!!」
「はっ!?私は何もしていませんよ?何言ってるんですか。刑事さん。悪いのはあのガキだ。僕は何もしていない。離してくれ。まだ病人なんだぞ。離せー!!」
根岸先生は発狂しながら数人の警察官に取り押さえられ連行されていった。
そして無精ひげの生えた刑事が少しずつ彼との距離を縮める。