女教師

「おい!先生をどうしたんだよ。」
 彼はものすごい剣幕で根岸先生に詰め寄った。
 「兼山君。いきなり学校でそんなことを言われても私には何のことやらさっぱり…。それに笹倉先生は無断で欠勤するような先生じゃないんですけどねーと先生方も心配していましたよ。」
いつものニコニコ顔の根岸先生は生徒に挨拶をしながら彼ともめていた。
「おい!とぼけんのもいいかげんにしろよ。痛い目にあいたいのかコラ!」
「…これは穏やかではありませんね。最近の若者は何かにつけてすぐ暴力で解決しようとする。でもあなたのような人は何を言っても誰も信用しそうにありませんからね。いいですよ。殴りたければご自由に。ただし笹倉先生とあなたのこと、学校にバラしてもいいというなら…。」
根岸先生は表情を変えずに言った。
「…いいよ。バラせよ。その代わりお前がやってたことも喋ってやる。カメラで覗いてたってことも今までバレなかったのは俺のおかげだと思え!」
彼は激情し、そう根岸先生に言い放った。しかし根岸先生は正反対に何を思ったか声を高らかにして笑ったのである。
「何がおかしい!」
ますます怒りの頻度を上げる彼。
「証拠はあるのか。そんなことを誰かに言って信用してくれる奴はいるのか。だいたい一生懸命学校に誠意を尽くす教師とお前のような問題児、大人はどっちを信じるか検討はつくよな。まあやってみればいいさ。結果はすぐにわかる。」
彼は根岸先生の胸ぐらを掴むと怒りを通り越し、憎しみの表情を目いっぱいさらけ出した。