女教師

「し、知らないわ…。」
私は危機を感じ後ずさりをしながら何とか逃れようと思った。
「そう。誰も知らない話だ。今日まではね。私は賭けてたんだ。いつまで隠すことができるか。でも笹倉先生。あなたにそれが見つかるとは思っていませんでした。」
いつものニコニコ顔をしながら私にその顔を向けた。
恐怖と共に私はある予感が頭の中をよぎった。
「も、もしかして、あなたが彼の両親を…?」
私は震えた声で確かめるように根岸先生に問いかけた。
「・・・・・・・・・・。」
根岸先生は私の顔を食い入るように見つめた。しばらくの間地獄に突き落とされたような感覚だった。気絶しそうになるのを必死に保った。
「そのスカーフはね、彼女がしていたものだった。1年前のあの日、僕は彼女に呼び出されて彼女の自宅へ向かった。でも家へたどり着くと彼女の夫もいた。また僕は愛されないのだと悟った。そして私の中の悪魔が『殺せ殺せ、そんな奴らは殺してしまえ』と頭の中で何度も繰り返した。」
根岸先生は私からそのスカーフを取り上げると息つくまもなく喋った。
「彼のお母さんと関係を…?」
私はゆっくりと根岸先生に問いただした。それ以上、聞きたくはなかった。けれどどうしても聞かなければならないことだった。
「そう。愛し合っていた。彼女も僕を僕も彼女を…。彼女は僕だけを愛するために生まれてきた人形なのだから。」
「人形?人間が人形だというの?」
「そうただ彼女は口があったばっかりに僕の怒りをかった。だから壊してしまえば一生、私を愛し続けるだろうと思った。」