女教師

「先生。ちょっと話があるんだけど。」
放課後、中野樹里は誰もいない図書室に私を呼び出した。
「中野さん。どうしたの?」
私はどきまぎしながら訊ねた。
「…東はあなたが好きだって言った。もう私の元には戻ってこないの。東が本当にあなたのことが好きでしょうがないんだね。だから私は東のことはあきらめようと思うの。」
「中野さん。」
私はホッと一息つくと落ち着いた口調でそう呼んだ。
「でもね。あんたのそういう態度むかつくのよね。思わせぶりで全ての男を虜にするような雰囲気…。女から嫌われる典型的なタイプだわ。だから思い知らせてあげる。人の男を取るということがどれだけ罪に値するのか。」
手のひらを返したように中野樹里は残酷な表情を見せた。私は彼女の言葉に理解を示せないまま立ち尽くしていた。そして中野樹里は何かの合図のように手を叩くとどこからか男子生徒数人が私の周りを囲っていた。
「何、これはどういうことなの中野さん。」
「知ってる?先生。先生の隠れファンって多いのよ。だから飢えた男子生徒にその機会を与えてあげようと思って。生徒といっても高校生って中々力が強いの。まあ抵抗できても限界があるでしょうね。」
「な、中野さん!あなた自分が何言ってるかわかってるの?やめさせなさい。ほら、あなたたちもこんな馬鹿げたことやめなさい。」
「先生。罰は受けてもらうわよ!」
中野樹里は腕組をしながら私のことを冷たく見下げた。
数人の男子生徒はなおもジリジリと私に間合いを詰めてくる。そして一人の生徒が私の腕を掴んだ。