空っぽの舟瀬くんの席と千愛を交互に見つめた後。
担任が来るより先にわたしは朝の職員室へと足を向ける。



爽やかさの欠片も無い担任のボサボサ頭に形ばかりの挨拶をする。



ちょうどゴチャゴチャした机に見えたのは、昨日千愛がコピーしていたプリントの束だ。



「先生これって……」


「あぁ。なんか渋木に急用が出来たからって一年のヤツが代わりに持ってきた」


「ですよね。……千愛がお礼を言いたいみたいなんで名前教えてください」



もちろんお礼なんて言う気はさらさら無いけど。

恨み言のひとつくらい言ったって罰は当たりないはずだ。