いつもより早い時間に登校してきた千愛は、教室に入るなり真っ先に舟瀬くんの席に目を向けた。



空っぽだった彼の席を見るなりあからさまに肩を落としている。



「おはよう千愛」


「水希……おはよ」



わたしの声に何とか笑顔を返してくれたけど……痛々しい。


顔色も悪いしきっと眠ってないんだと思う。



「舟瀬くん……」



会えた? って聞くよりも先に千愛は首を左右に振って否定する。



思っていたよりずっと舟瀬くんの受けた傷は大きい……。


それは目の前の千愛も同じだ。



青白い顔で舟瀬くんの前の席に腰を下ろす千愛にわたしがしてあげられることは何だろう。