印刷室の場所を探していた舟瀬くんを案内したわたしの耳に飛び込んできた声。


思わず立ち尽くしてしまう。


一瞬何が起きたのかわからなくて。



気が付いたときには隣に居た舟瀬くんが走り出していて、



「っ宝珠!!」



必死に声を上げる千愛の泣きそうな顔を見送っていた。



そして、



「っつ!」



頭で考えるより先に目の前の彼に向かって力一杯頬を張っていた。



「……何するんですか」


「それはこっちの台詞よっ」



あんなにあからさまな悪意を向けて人を傷付ける姿を初めてみた。



それは転校したばかり舟瀬くんが千愛に向けたモノなんて比にならないくらい……。