“馴れ馴れしく宝珠なんて呼ぶな”
再会した大好きな男の子は、こう言って冷たい眼差しでわたしを突き放した。
悲しみが全身を伝っていく。
十年前。
公園で手を繋ぎ、安心をくれた面影はそこにない。
一度だってわたしは宝珠のことを忘れたことなんて無かったのに……。
宝珠はわたしのことなんて、すっかり忘れてしまっていた。
流れる時と共に重ね続けた想いが、打ち砕かれてしまったように胸が重く痛む。
それに。
優しかった宝珠の瞳。
……まるで氷みたいだった。
冷たくて鋭い……氷の瞳。
変わり果てた幼なじみの姿に、胸の痛みは鈍くわたしの心に巣くっていった。