春、恋咲く。〜旅立ちの日〜

「あの日の坂本が、あまりにも可哀想だったからかもしれない。みなみがすごく残酷な人間に見えた。」


勝手に動く口に、頭は止めろと警報を鳴らすのに、どうしても止まってくれない。


「それから気になって、ずっと2人を見てた。」


ダメだ、と思うのに


ギリギリまで堪えぬいたダムが崩壊した瞬間のように


「結果的に言えば、今、2人は両思いだと思う。」


次々に溢れ出て、歯止めが利かない。


壊れたダムは


「もし、あの日のあたしがここにいたら。あたしはきっと、坂本におめでとうって、言ったんだろうね。」


もうブレーキにはならない。