春、恋咲く。〜旅立ちの日〜

「え…?」


突然あたしが言葉を発したため、アイツは驚いた声を出して顔をあげた。


アイツがあまりにも真っ直ぐにあたしを見るから、あたしはそれに堪えられなくて


アイツの視線から逃げるために背を向けた。


逃げたいとあたしの心は叫んでいて


それなのに、あたしの口は止まらない。


「小6のとき、みなみに告白する坂本を見た。坂本はみなみにフラれて、泣いてた。」


何を言おうとしてるのか、あたし自身すらわからない。


心より先に、頭より先に、口が動いている


そんな感覚だった。