春、恋咲く。〜旅立ちの日〜



先生の話も終わり、校門前には卒業生が群がっていた。


男子に呼び出されていたみなみを見送り、あたしは一人校庭の隅の小さな鉄棒に寄り掛かっていた。


「チカ、頑張れ!」


「う、うん…」


緊張気味に頷く、チカと呼ばれたその女の子の足は、間違いなくアイツに向かっている。


告白…だよね……


………。


わかってる。


アイツはモテるんだ。


告白だってされるに決まってる。


それでも告白しないって決めたのはあたしだ。


盗み聞きなんて、する資格ない。


ないけど……


「拓斗が好きなの!」


そう素直に真っ直ぐに想いを伝えられる彼女たちが、羨ましくてしょうがない。