春、恋咲く。〜旅立ちの日〜

高校に入ったら、バスケ部以外の部活に入ろうって決めていた。


バスケなんてやってたら、きっといつまでも忘れられないから。


ボールに触れるだけで、一緒に練習したことを思い出したり。


大会に出るたび、会えるかもって期待したり。


そうやって結局、忘れられずに引きずってしまうと思ったから。


だから、もうやめようって決めてたのに…


「続けろよ、バスケ。」


顔をあげたあたしの目の前には、アイツの真剣な顔。


あぁ、もう…


ずるいなぁ…


そんな顔でそんなこと言うなんて。


ずるい…


でも…


それ以上に、あたしは本当にダメな奴。


そんなたった一言で


「考えてみる…」


こんなにも心が揺れちゃうなんて…


本当、ダメだなぁ…


あたしはとことん、アイツに弱い。