ある日、いつも通りに仕事を終え本来ならそれから学校へ行く予定だったが何気なくその日は学校をズル休みした。フラッとウィンドウショッピングをしようと寮を後にし駅まで向かった。彼の誕生日も近かったので欲しがっていたスニーカーを買う為に店に立ち寄った。
と、そこに彼が私の親友と手を繋いでスニーカーを選んでいる光景を目の当たりにしてしまったのだ。私はとっさに隠れた。「何で?私が彼と付き合っている事知っているくせに…」
それから2人は仲良く手を繋いだまま消えて行った。ショックのままフラフラと寮へ帰り部屋で呆然としながら何度もあの光景を思い出していた。その夜、何事もなかったかのように私に電話を掛けてきた彼。私は小さな声で問いかけた。「ねぇ、今日…何してた?」彼の返事は「仕事だった」。私は続けた。「私見ちゃった。ミーナと一緒だったよね?手まで繋いでさ…」暫く沈黙が続いた。そして返ってきた答えはこうだった。「ナナちゃんがさせてくれないからじゃん。男が一年間も待てる訳ないじゃん」
私にはその行為は不潔なものとしか捉えられなかった。男ってみな同じなんだと思った。次の日ミーナとばったり出くわした。ミーナに「マコと一緒にいる所見たんだってね。大体あんたが悪いのよ。いつまでも子供のお付き合いごっこしてるからこうなるのよ。私達は大人の付き合いをしてる。私もマコが好き。あんたに勝ち目はないよ。他当たんなさいよ」
ミーナは強気だった。やっぱり私が悪いのか…。私に出来る事は身を引く事だけだった…。