とても楽しいはずだった学校生活。保育園から小学校へ上がり私の胸は夢と希望で満ち溢れていた。本を読む事が大好きだった私はいつの間にか大人しい小学生になっていた。
そんな私にいじめと云う恐ろしい出来事は突然始まった…。隣りの席の男の子にいきなりハサミの切れ味を確かめると髪の毛をバサッと切られた。怖くて泣いた。先生に話すとその男の子は叱られ更に私へのいじめが進んでいった。私のランドセルを数人の男の子で投げ合って返してくれなかった。私の家は貧しく机を買って貰えなかった。その代わりにと父が奮発して高いランドセルを買ってくれた。私はそのランドセルを宝物のように大事にしていただけにコンクリートの上、土の上に落ちて汚れていく宝物に泣く事しか出来なかった。「また先生に話したらもっとヒドい事するからな」。怖かった。家に帰っても親には言えず私は小さな心の中にそれを仕舞った。それから小さないじめは始まった。
傘が無くなり靴を隠され、上履きの中に画鋲を入れられた。「何で?何で私?私が何をした?」いじめられる原因もわからなかった。そのまま持ち上がりで2年生になった。そんなある日の放課後渡り廊下の先のトイレへ行き戻ってきた時は渡り廊下の鍵が掛かっていた。「助けて!誰か!」私は必死にドアを叩いた。校舎は静まり返り次第に恐怖が湧き上がってきた。その時同じクラスの谷川君が忘れ物を取りに戻って来た。助かった…
「谷川君閉じ込められたの!ここ開けて!」私は大声で泣きながら叫んだ。谷川君は立ち止まり無表情のまま通り過ぎて行った。パニックだった。ショックだった。みんな私の事なんてどうでもいいんだ…。私は柵を登り始めた。飛び降りる為に。
校舎は二階立てだったが小さな小学2年生の私にはとても高く感じた。下は砂利だった。飛び降りたら死ぬかな、痛いだろうな。でもこんな生活嫌だ。
思い切って飛び降りた。全身が痺れ激痛が走った。しばらく動けなかったが死なないですんだ事に嬉しいような悲しいような複雑な気持ちだった。やっと家に帰り親を心配させまいと転んだと嘘をついた。小さな胸の内は泣いていた。