名前を見つけると、ウチは一気に気が抜けたような感じになった。
「…あ、杉岡やぁ。」
「知ってるん?」
「うん。…てか、同じクラスー。」
「へぇ~、そうなんやぁ~…あ、始まった。」
「あ、杉岡頑張れ~☆」
試合が幕をあげた。
ウチはクラスメートという理由だけで、杉岡のコトを応援していた。

バシッ!バシッ!バシバシ!!―

竹刀がぶつかり合う「迫力」。
体育館中に響き渡る「足音」と「声」。
それと、防具からチラチラ見せる、「杉岡の真剣な表情」。。。
その全てに、いつの間にか圧倒されていた。

試合は終わった。
結果…杉岡が勝った。
結果を知らされた時の杉岡の表情は、なぜか喜びもせず、ただ黙って姿勢を正して、正座をしていた。
その姿が、ウチにはカッコよく見えた…。

その日から、ウチの頭の中には杉岡がいるようになっていた。
ふと、友達との会話が途切れると、あの時、あの瞬間の杉岡がよぎる。。。
別に、教室で話していても、ふと目が合ったとしても、特別な感情が生まれやしなかった。
それでもやっぱり…彼のコトをもっと知りたいと、心のどこかで思っていた……。


…でも、もう人を好きにはならない。
決めたんだ、そう。。。

もう、辛い想いをするのはたくさんだから…。。。