イルカの涙

結局、杉岡から返事が来るコトはないまま、朝を迎えた。

別に、理由を聞く気はない。
だって、まだ本気じゃないし。
付き合ってないし…“恋”じゃない!!

ウチの中で、まだこんな一人コントが繰り返されていた。

《絶対。恋じゃない!》
《でも、近づきたい…》
《恋愛対象なんかじゃない!!》
《でも仲良くなりたい…》

今日もいつも通りの授業が始まった。
いつもの角度で、いつもの感じで、杉岡が視界に入る。。。

同じクラスで、全く話さないってワケではない。
雫と話していたり、一人でいたりすると近づいて来て何かしら話してくる。
…変な期待するって!!!(焦)

何か知らないケド、優しいし…
何か知らないケド、面白いし…
何か知らないケド、ふとした瞬間に、視線がぶつかり合うコトだってある……

休み時間、いつもと同じで雫と話している時に、ウチは誰にも気付かれないように杉岡のコトを見つめながら、こんなコトを考えた。

《話しかけてみるかな…》

そう決めてから、ウチは雫に「ちょっと待ってて☆」と言って、杉岡の元へと近づく。
胸の鼓動を抑えながら…

「…杉岡ー?」
初めて声をかけた。
突然の出来事に、杉岡は一瞬戸惑っていたが、すぐ立ち合ってくれた。

「…はい、何でしょう?」
「あのさぁ~…今度、映画見ぃへん?」
「え?イイケド…何を見るん?」
「えっと、“GOEMON”知ってる?」
「えっとなぁ…あぁ、アレか!イイよ♪いつ?」
「えっと~…今週の日曜とかは?」
「分かった☆」