「学級委員に相談できないとなると、困ったな……あんまり私が顔を出すと、いや、こうなることは予想していたが……」

「先生、予想していたんですか?」

「ああ。墨丘は前の学校でもいじめで登校拒否になり、そして、どうしても進学したいので、うちの学校に転校してきたんだよ。もちろんトラブルがあることは承知だ。だから、墨丘本人が訴えてくるならともかく、第三者の子吉沢からでは先生が介入するのは難しいな」

「そうですか……」

 子吉沢は墨丘に頼まれたわけではないので、このまま引き下がるしかなかった。

「卒業まであと少しだ。墨丘の心配も大事だが、自分の心配した方がいいぞ。今の成績だと、どこの高校にも入れないぞ」

 子吉沢は納得したわけではないが、打つ手はないことがわかった。

 敗北感だ。