子吉沢は担任の大佐古教諭の前にいた。

 職員室は教諭たちが談笑し、朗らかな雰囲気であった。

「高校のことか?」

 大佐古教諭は子吉沢を見るなり言った。

「別のことですけど」

「何だ?」

「墨丘くんのことですけど……」

「どうした?」

「今日の昼休みにみんなで、墨丘くんのことをオカマだって、いじめていました」

「そうか」

 大佐古教諭はあっさりと言った。

「どうしたらいいでしょう?」

「そ~だな、学級委員に相談しろ」

「先生から言ってもらえないんですか?」

「そ~だな、難しいな」

「難しいと言われても……」