「よしてくれよ」

「嫌なの?」

「そうじゃないけど、今までしゃべらなかった奴がしゃべったらどうなると思う?」

「どうにもならないよ」

「そうかな。墨丘くんは女子にモテモテだから、しゃべったら、うらまれるかも……」

「大丈夫だよ、決まり!」

「わかった、しゃべるときはこっちから言うから、それまではしゃべらないでね」

「絶対だよ」

 墨丘は小指を出したので、指切りをした。